外国人の方が日本で会社経営を行いたい場合、大きく分けて以下の2つの手続を経なければなりません。
会社設立手続
在留資格(ビザ)の取得手続
※国外で経営に携わる場合、について考慮する必要はございません。
※既存法人に役員又は管理者として就任する場合には、についての記載(要件等)のみご覧ください。
※職業に制限のない在留資格(永住者や配偶者等)をお持ちの方は、対象外です。
※今回は、これから会社を設立し、来日する外国人の方を対象とした手続を中心にご説明しております。
現在、外国人の方でも会社を設立するだけなら、それほど難しいことではございません。
しかしながらその後、在留資格「経営・管理」を取得しなければならない場合、
その取得要件を考慮した形で設立をしなければなりませんので、
十分に事前調査・準備した上で、手続に着手して頂く必要がございます。
(設立したはいいが、ビザが取得できず入国できない場合もございますので。。。)
以下、日本に協力者がいる場合と日本に協力者がいない場合(非日本居住外国人の方の場合)に分け
それぞれのケースにおける手続の方法・可能性について、ご説明させて頂きます。
(注)なお、各手続については、簡略化して記載しております。
日本に協力者がいる場合
※『協力者』とは、日本在住の日本人及び外国人(発起人や役員になれる方に限る。)を指します。
《STEP1》 協力者が発起人(出資者)となり定款を作成し、公証役場で認証を受ける。
ここでは、協力者の他、経営者の方(日本で経営予定の方)も発起人として出資されて構いません。
定款認証は、通常発起人の印鑑証明書が必要となりますが、
経営者の本国に印鑑制度が無い場合には、サイン証明書を取得して頂く必要がございます。
(発起人が協力者のみの場合には、印鑑証明書のみで足りるということになります。)
我々行政書士が代理人として定款の作成及び認証を行うことも可能です。
出資金額は、可能な限り500万円以上にして下さい。←在留資格取得要件のため
《STEP2》 発起人の個人金融機関口座に、出資金の払い込みを行う。
ここで言う発起人は協力者となります。
経営者の方も発起人の場合、経営者の個人金融機関口座を使用することも可能ですが、
払い込める口座は、日本国内金融機関及びその外国支店に限定されますので、
利便性を考えると、日本在住の協力者の方の口座を使用する方法が最も効率的です。
《STEP3》 設立の申請を行う。
会社の構成ですが、経営者の方お1人でも可能です。(現在、日本非居住者のみでも会社は設立可能)
また、協力者の方を役員に含めても構いません。
なお、申請の際にも、経営者の印鑑証明書又はサイン証明書が必要になります。
本店所在地について(在留資格取得要件として)
ヴァーチャルオフィスは不可。また短期間(月単位)の賃貸スペースも不可。
居住用マンションについては、貸主等の使用承諾が取れており、設備等が整っていればOK
ただし、事業規模や事業内容によって本店や営業所の在留手続における扱いが変わってくるので、
事前に相談・調査は必要となります。
《STEP4》 在留資格認定証明書交付申請:在留資格「経営・管理」を行う。
設立が完了しましたら、在留資格認定証明書交付申請を行います。
在留資格「経営・管理」の要件は以下の通りです。
①申請に係る事業を営むための事業所が国内に存在すること。
ただし、当該事業が開始されていない場合には、
当該事業を営むための事業所として使用する施設が国内に確保されていること。
②申請に係る事業の規模が次のイ~ハのいずれかに該当していること。
イ.その経営又は管理に従事する者以外に国内に居住する2人以上の常勤の職員
(日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者に限定)が
従事して、営まれるものであること。
ロ.資本金の額又は出資金の総額が500万円以上であること。
※申請人(日本で経営予定の方)や外資の投資額については、要件としない。(重要)
=つまり、国内資本でも構わない。
ハ.イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
③申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験
(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、
かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
在留期間は、5年、3年、1年、4か月又は3か月が付与されます。
(通常新規は1年又は3年が多いです。)
事業上、許認可(飲食業や不動産業等)が必要な場合には、事前に取得する必要がございます。
新設法人の場合、当然ながら決算書がない状況での申請となります。(あっても売り上げは0でしょう)
そこで代わりに事業計画書を提出しなければなりません。
事業計画書においては、会社の概要を含め、今後の事業・サービス内容や売り上げ予想、
取引先等を説明し、継続して事業を行っていける環境・状態であるかどうか?が問われて参ります。
また、在留期間の更新時において、売上が0だったり、債務超過の場合には、
不許可のケースもございますので、十分な経営計画が必要となります。
なお、既存法人の役員に就任する場合(決算書がある場合)でも、
ペーパーカンパニーである場合や赤字・債務超過の場合、
名目だけの役員(実際に活動していない)であると判断された場合には、
不交付・不許可になりますので、ご注意ください。
《STEP5》 認定証明書の交付を受け、在外日本領事館でVISA申請を行い、入国
認定証明書が交付されましたら、当該証明書を経営者ご本人に送付し、
本国の在日領事館でVISAの申請をして頂き、入国となります。
(認定証明書は、VISA申請の際の添付書類となります。)
日本に協力者がいない場合(非日本居住外国人の方の場合)
《STEP1》 経営者(日本で経営予定の方)が発起人(出資者)となり定款を作成し、
公証役場で認証を受ける。
経営者本人が定款認証を受けに来日する場合には、
「短期滞在」にて入国し、認証手続を行うことになります。
もちろん、我々行政書士が代理人として定款の作成及び認証を行うことも可能です。
定款認証は、通常発起人の印鑑証明書が必要となりますが、
経営者の本国に印鑑制度が無い場合には、サイン証明書を取得して頂く必要がございます。
出資金額は、可能な限り500万円以上にして下さい。←在留資格取得要件のため
《STEP2》 在留資格認定証明書交付申請:在留資格「経営・管理」を行う。
現在、法人設立が完了していない状況(=謄本がない状況)でも、
在留資格認定証明書交付申請が出来る仕組みとなっております。
この場合、設立手続は定款認証までで構いません。
(注)もし、設立手続が完了できる場合には、そちらを終えて認定証明書交付申請を行って下さい。
本店所在地について(在留資格取得要件として)
定款内でも本店所在地は、絶対的記載事項となっております。
(最少でも東京都○○区までの記載が必要)
上述の「在留資格「経営・管理」の要件」でも触れておりますが、
事業所の確保が要件となっておりますので、事前に来日し、事業所の仮契約等が必要となります。
(非居住外国人の方が部屋を確保するのは、中々難しいと思いますが。)
在留資格「経営・管理」の要件は上述のとおりですが、
提出書類については多少異なりますので、ご注意ください。
このケースで与えられる在留期間は、4か月となります。
《STEP3》 来日し、会社設立手続を進め、設立申請を行う。
在留期間は4か月しかございませんので、その間に住民登録や口座開設、
事業所の確保等を行い、設立申請をします。
《STEP4》 設立が終わったら、在留期間更新許可申請:在留資格「経営・管理」を行う。
更新時には、謄本や法人設立届出書等を添付し、在留期間の更新許可申請を行います。
認定証明書交付申請時に、事業内容等は審査されておりますので、
よほどの変更事由等(資本金が減っていたり、不適正な事業所に変わっていたり等)が
発生していなければ問題なく許可されます。
在留資格「経営・管理」については、“どのような状況からスタートするか”により、
手続の方法が違って参ります。また難易度も幅があり、
一からスタートする場合には、期間や資金もかかります。
さらに事業内容について、将来性・継続性・安定性が求められますので、
事前の準備が非常に大切となっております。
当該手続に関しまして、ご相談がございましたら、お気軽にご連絡(03-5954-5356)下さい。