適格投資家(プロ)向け投資運用業

既存の助言業者の方から、「適格投資家(プロ)向け投資運用業」の登録について、
ご相談がございましたので、今回は、当該手続について、以下ご説明させて頂きます。

Q.「適格投資家(プロ)向け投資運用業」とは?

A.投資運用業のうち、下記①②を満たすものを指します。

  ①適格投資家(プロ)のみを運用財産の権利者とすること。
  (適格機関投資家等特例業務を行っている場合には、当該権利者についても適格投資家のみであること。)

  ②運用財産の総額が200億円以下であること。
  (適格機関投資家等特例業務を行っている場合には、当該運用財産も含む。)

ここで出てきます“適格投資家(プロ)”とは、次の①~⑤の者をさします。

①特定投資家(適格機関投資家、国、日本銀行、資本金5億円以上の株式会社等)
②保有する金融資産の合計額が3億円以上の法人
③保有する金融資産の合計額が3億円以上、かつ、
 有価証券取引又はデリバティブ取引を開始して1年以上経過している個人
④金融商品取引業者の親会社等、役員及び政令使用人
⑤保有する資産が100億円以上の厚生年金基金及び企業年金基金等
 

<緩和・追加(独自の規制)される規制について>

適格投資家(プロ)向け投資運用業の登録においては、
通常の投資運用業と比べ以下の点について、規制が緩和及び追加されます。

※緩和及び追加される項目以外については、
 原則通常の投資運用業の登録手続を準用することになりますが、
 運用額や経営規模等により登録手続に関しては、若干変わって参りますので、
 個別の事案毎に担当官と相談しつつ、進めていくことになります。

(1)資本金及び純財産額は、1,000万円以上(通常は、5,000万円以上)

(2)監査役又は委員会設置の株式会社であればOK
  (通常は、取締役会+監査役又は委員会設置の株式会社)

(3)体制についての審査項目①~③ (原則としては、通常の運用業登録に準ずる。)

   ①資産運用を行う者については、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者として、
    次のいずれかに該当する者が1名又は2名以上確保されている事
   
   イ.運用を行おうとする資産に関し少なくとも1年以上、
     助言又は運用を行う業務に従事していた者
   ロ.イに準ずる者

   ②独立したコンプライアンス部門(担当者)の設置については、
    コンプライアンスを担当する者として、
    次のいずれかに該当する者が1名又は2名以上確保されている事
   
   イ.金融商品取引業に関し少なくとも1年以上、
     法令等を遵守させるための指導に関する業務に従事していた者
   ロ.イに準ずる者

   ③行おうとする業務について下記a~mに掲げる体制整備に必要な要員が
    1名又は2名以上確保されていること。

    a.帳簿書類・報告書等の作成、管理
    b.ディスクロージャー
    c.運用財産の分別管理
    d.リスク管理
    e.電算システム管理
    f.管理部門による運用状況管理、顧客管理
    g.法人関係情報管理
    h.広告審査
    i.顧客情報管理
    j.苦情・トラブル処理
    k.運用部門による資産運用業務の執行
    l.内部監査
    m.投資信託財産の運用を行う場合にあっては、投資信託財産に係る計算及びその審査

    (注)なお、法令等の遵守が適切になされるような体制が整備されていると認められる場合には、
       上記②と③の人員が同一となることは妨げられません。

(4)該当性の審査項目(通常の運用業登録に掲げる留意事項のほか。)

   ①全ての運用財産の総額が、上限200億円を超えることとならないような措置を講じているかどうか。

   ②権利者又は権利者となろうとする者の属性の確認及び権利者の取引動向の把握、
    適格投資家以外の者が権利者となることを防止するための必要かつ適切な措置を講じているかどうか。

   (具体的には、次に掲げる事項を社内規程として定め、運用していること。)
    ・業者自ら販売する場合には、勧誘する顧客の属性を事前に確認するとともに、
     有価証券に転売制限が付されていることを顧客に説明すること。
    ・第三者が販売する場合には、勧誘する顧客の属性を事前確認するとともに、
     有価証券に転売制限が付されていることを顧客に説明する旨を確認すること。
    ・権利者の属性や転売制限の実施状況を継続的に確認すること。
     (これに違反していることが判明した場合の事後対応を含む。)
    ・社内規程に従い、実際の権利者の分布状況を継続的に確認していること。
    ・社内規定に従い、違反した場合の事後対応が適切に行われていること。
    ・内部監査等により、検証する体制が整備されていること。

(5)コンプライアンスの外部委託について
   ・コンプライアンスを外部委託する場合には、外部委託先に関する事項:
    商号、住所、概要、契約内容、担当者の知識経験等について審査の対象となります。

適格投資家(プロ)限定の運用に関しましては、前述の通り、スキームが決まった段階で、
当局と相談をし、登録の可否も含めて、進めていく形となります。

ご質問、ご相談等ございましたら、お気軽にご連絡お願い致します。

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