改正「適格機関投資家等特例業務」について

本日平成26年5月14日付で金融庁より
「適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令・内閣府令案等」が公表されました。
(金融庁:http://www.fsa.go.jp/news/25/syouken/20140514-1.html
先月より情報は流れておりましたが、具体的な見直しについての発表となりました。

現在、届出を行っている特例業者は3000社近くございますが、今後の展開なども含め
以下、改正内容についてご説明させていただきます。

改正された規制内容について

現状、届出業者は、1名以上の適格機関投資家(金融機関等)と49名以下の一般投資家に対し、
ファンドの販売等を行うことができます。

しかし改正後(ちなみに、規制改正の施行日は、平成26年8月1日が予定されております。)では、
販売先が、適格機関投資家と一定の投資判断能力を有すると見られる者となります。

この「一定の投資判断能力を有すると見られる者」とは、以下の者となります。
※人数制限についての改正はないようなので、従前通りになる予定です。

➀金融商品取引業等(法人のみ)
➁プロ向けファンドの運用者
➂➁の運用者の役員、使用人及び親会社
➃上場会社
➄資本金額が5,000万円を超える株式会社
➅特別の法律により、特別の設立行為をもって設立された法人
➆資産流動化法第2条第3項に規定する特定目的会社
➇存続厚生年金基金又は要件に該当する企業年金基金
➈外国法人
➉保有する資産の合計額が1億円以上、かつ証券口座開設日より1年経過している個人
⑪その他内閣府令で定める者  例:➀、➃、➄の子会社等又は関連会社等


施行日(予定)である平成26年8月1日前に取得の申し込みの加入を開始した権利にかかる運用については、
経過措置として、当該行為が終了するまでの間は、今回の改正される規定にかかわらず従前の例によります。


上記の経過措置は、法63条第1項第2号に掲げる行為(つまり運用)に対するものになりますので、
法63条第1項第1号の募集については、経過措置が取られない予定なので、
施行日において運用が開始されていないファンドは、全て改正される規制にかかることになります。
例えば募集中のファンドについては、販売先を改正後の規制に基づいた者にしなければならないということです。

<追記:2014.6.5>
募集期間が、改正前後にまたがっている場合、
当然ながら、改正後の販売先(募集)は規制のとおりになりますが、
改正前に当該募集に出資がなされた状況(出資者の中には一般投資家(非有識者)がいる状況)で、
改正後に運用がスタートする場合には、非有識者の一般投資家は追加出資さえなければ、
当該運用は可能であるようです。(当局に電話相談した結果)
つまりは、改正後の運用において、非有識者の一般投資家が改正前に出資したファンド運用も
経過措置に該当するということです。

ただ、担当者も明確な回答はせずに、濁しておりましたので、
このような状況の業者の方は個別に相談したほうがよろしいと思われます。

<追記:2014.8.29>
適格機関投資家等特例業務の見直しについては、ベンチャー業界からの強い反発もあり、
施行を来年以降に持ち越すことになりました。詳細はこちら

 
 
今後の展開、手続等について

既存業者の方々の今後の展開や必要な手続等について、
以下考察して参ります。

➀販売先を規制通りに変更する

-考察
今後も特例業務を行う場合には、ファンドの販売先を適格機関投資家と
一定の投資判断能力を有すると見られる者へシフトし、特例業務を引き続き行っていくことになります。

適格機関投資家については、改正前にも条件だったので問題ないと思いますが、
一般投資家から投資判断能力の有る投資家に販売先が変わることで、
どれだけ、プロ以外の投資家を確保できるかが問題となります。

当局としては、現行でもプロ向けのファンドを購入している一般投資家は、
投資判断能力を有する方々が大半と考えて、影響は限定的と考えているようですが。。。

規制の原因としては、知識等がない方々への不適切な勧誘や販売が問題となっているのであり、
つまりは、そういった方々でこのスキームが成り立っているのが実態(適正な業者も含め。)ですので、
届出業者は必然的に減少(廃業)していくことになると考えられます。

-手続
特例業者の廃業手続については、32,400円(税込)でお受けしております。

また、規制により既存の業者に対して、何らかの届出等が発生する可能性もございます。
モニタリング等で販売先の詳細を当局としては把握しておくのでしょうか。
改正を機に既存業者に一斉にヒアリング等があるかもしれませんね。
今後の発表を待ちたいと思います。

➁第二種業、運用業の登録を行う

-考察
特例業務の販売先の規制により、第二種業及び運用業の需要は必然的に高まると思われます。
しかしながら、新規の登録はどちらもハードルは高く、期間も必要となることから、
直ぐに業者数が増えるということはないでしょう。

また、当該登録の要件が緩和される予定も現在の所聞きませんので、既存業者を買収したり、
例えば特例業者等が合併し、登録要件を満たしてく等が考えられます。

-手続
第二種業の新規登録については、324,000円(税込)でお受けしております。

登録のポイントは人的要件になりますので、
ファンド業務(経営、実務、コンプライアンス等)に関する知識・経験者が複数人必要となっております。

➂総括

前述しましたが、規制の目的としては、投資に関する知識・経験が乏しい方々への
不適切な勧誘等が社会問題になっている現状を打開するためのものであり、
個人的にも規制は必要だと考えております。

しかしながら、良い意味で簡易でスピィーディーにファンドの販売、購入が出来るスキームであったものが
無くなったことにより、この市場がほぼ壊滅状態になってしまうのは残念な部分でもあります。

プロ向けのファンド募集方法ではありますが、適正な形で一般の投資家が参加している形のファンド
も当然ながら多々ありますので。。。


現在検討されている簡易型の2種(1種も検討されていますが。)投資型のクラウドファンディング
不特定多数の投資家がインターネットを通じて、小額の投資をするスキーム)が
制度化されれば、一般投資家の方々も登録業者も、新たな投資スキームとして拡がっていくかも知れません。

今回の改正について今後既存業者、新規届出の手続詳細等について公表されていくと思いますので、
そちらも随時、ご報告して参ります。

ご質問やご依頼等に関しましては、お電話03-5954-5356メールにてお受けしておりますので、
お気軽にご問い合わせください。
※なお、こちら記載した情報の中には、今後変更が加わる可能性がある情報もございますので、ご注意ください。

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