金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する
法律等の一部を改正する法律(令和2年3月6日提出)が、6月5日付で成立いたしました。
施行日は、公布の日から起算して、1年6か月内(一部1年内※)となっております。
※金融商品取引法の一部改正のうち店頭デリバティブ取引情報の報告に係る報告先の一本化及び
資金決済に関する法律の一部改正に係る規定については、1年内。
主な改正については、次の2つとなります。(2020.6.9時点)
1 金融サービス仲介業の創設
(1)「金融商品販売法」が「金融サービスの提供に関する法律」に名称を改め、
金融サービス仲介業が創設されました。
(2)1つの登録で、銀行・証券・保険全ての分野のサービスの仲介を行うことが出来ます。(ワンストップ)
※登録は1つですが、その中で業務種別(預金等媒介業務、保険媒介業務、
有価証券等仲介業務及び貸金業貸付媒介業務)がございますので、
登録=全ての業務を行なえるわけではございません。(それぞれの登録要件もございます。)
※一定の要件を満たせば、電子決済等代行業の登録手続も省略が可能となります。
(3)主な規制は、以下の通りです。
既存の仲介業とは違い、特定の金融機関への所属は求められません。
利用者財産(サービス購入代金等)の受入れは禁止となります。
仲介にあたっては、高度な説明を要しないと考えられる金融サービスに限り取扱い可能。
つまり、高度な説明を要するサービス(仕組預金、非上場株、デリバティブ、外貨建等)は取扱い不可。
利用者に対する損害賠償資力の確保のため、保証金の供託等が義務となります。(金額未定)
利用者情報の取扱いに関する措置や利用者への説明義務、禁止行為などは、
取り扱うサービスの分野に応じ、必要な規制を過不足なく適用。(共通規制+分野毎の規制)
監督規定や認定金融サービス仲介業協会及び裁判外紛争解決制度に関する規定が整備されます。
2 資金移動業の規制の見直し
(1)資金移動業においては、海外送金など100万円超の送金ニーズがある一方、
実態をみると、件数ベースで5万円未満の送金が約9割であり、
アカウント残高も5万円未満が9割以上となっており、
今回ニーズに応え、実態に配慮した資金移動業の規制の見直しが行われました。
(2)資金移動業は、以下の3つの類型になります。
①第一種資金移動業(認可型)
・高額(100万円超)の送金が取扱可能な類型を創設。
海外送金のニーズなどを踏まえ、100万円超の高額送金の取扱いが可能となります。
・事業者破綻時に利用者に与え得る影響を踏まえ、利用者資金の受入れを最小限度とするため、
具体的な送金指図を伴わない資金の受入れは禁止となり、
事業者は送金先や送金日時が決まっている資金のみ利用者から受入れ可能となります。
②第二種資金移動業(登録型)
・既存業者等に配慮した現行の枠組み(少額(5万円超(予定)~100万円以下)の送金となります。
・利用者から預かった資金が100万円を超える場合、送金と無関係な資金の払出しを求めます。
③第三種資金移動業(登録型)
・少額(予定では5万円以下)の送金を取り扱う類型となります。
・送金コストのさらなる削減の観点から、利用者の資金について、
供託等に代えて、分別した預金で管理することが認められます。(外部監査を義務付け)
・いわゆる収納代行のうち、「割り勘アプリ」のように実質的に個人間送金を行う行為が、
資金移動業の規制対象であることが明確化されます。
宅配業者の代引きやコンビニでの収納代行、エスクローサービスは現状通り、規制なし。
(3)保全方法の組合せについては、現在、①供託、②保証、③信託が認められているが、
組合せに制約(①及び②の組み合わせのみ可能)があるため、
改正法では、①~③全ての組み合わせが可能となります。
施行は来年以降になりますが、随時情報の更新をさせて頂きます。