賃貸住宅管理業の登録要件・義務等(新法)

先月末に開催された「賃貸住宅管理業法の施行に向けた検討会(第4回)」において議論された
賃貸住宅管理業に関する主な論点(登録要件・義務等)について、以下整理させて頂きました。
※賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、「法」という。)は、今年6月18日までに施行されます。
※政省令は、今年3月下旬に公布予定です。
※施行時点で現に当該業務を営んでいる見做し業者は、経過措置終了(施行から1年間)までに登録申請が必要となります。

追記:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(仮称)案等の
      パブリック・コメント(意見募集)が開始されました。(令和3年2月22日

追記:賃貸住宅管理業者の違反行為に対する監督処分の基準(案)に関する
      パブリック・コメント(意見募集)が開始されました。(令和3年3月8日

追記:国交省の担当者に問い合わせた所、指定講習及び移行講習の開催は、
      ゴールデンウィーク前後を予定しているそうです。
      又、法施行日は、6月15日となります。 (令和3年4月9日

追記:専用ページを新法に基づき、更新いたしました。
      手続のお申込等をご希望の方は、ご確認お願いいたします。(令和3年4月26日

 

①賃貸住宅管理業の登録********************************

(1)財産的基礎要件について(法6条第1項第10号)
    
   財産的基礎要件は、以下のいずれをも満たすこととする。

   〇負債の合計額が資産の合計額を超えないこと(=債務超過でないこと
   〇支払不能(※)に陥っていないこと(=破産原因がないこと
    ※支払不能とは、”債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、
       一般的かつ継続的に弁済することができない状態(破産法第2条第11項)”を指します。
      ※直近の貸借対照表等で、確認を取る事になると想定されます。

(2)管理戸数の確認方法等について(法3条第1項)

   登録を義務付けない規模は、以下のとおりとする。

   〇管理する戸数が、200戸未満の場合(確定)
    ※管理戸数が、一時的にでも200戸以上になる見込みがある場合、登録が必要となる。
      ※管理戸数が、200戸未満の場合でも登録を受けることが推奨される。(勿論、監督処分や罰則の対象になりえます。)

 
   管理戸数の確認資料は、以下のとおりとする。
   
   〇登録の際には、申請日時点で契約中の管理戸数(※)と契約件数を記載する
    「業務の状況に関する書面」を添付する。
    ※管理戸数の考え方=入居者との間で締結されることが想定される賃貸借契約の数をベースとして考える。
       例:シェアハウス(1棟、10部屋)を管理する場合、10部屋の内、4部屋しか入居者がいない場合でも10戸と考える。

   〇上記添付書類の付随書類として、全管理物件の名称及び住所、
    並びに当該物件毎の戸数を記載した一覧表の電子データも併せて求める。

 
②賃貸住宅管理業者に課す義務*****************************

(1)業務管理者が管理及び監督する事項(法第12条第1項)

   業務管理者が管理及び監督しなければならない事項は、以下のとおりとする。  
  
   〇法第13条及び第14条の規定による書面交付等に関する事項
   〇維持保全(点検・清掃・修繕等)の実施に関する事項
   〇家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
   〇法第18条の規定による帳簿の備付け等に関する事項
   〇法第20条の規定による定期報告に関する事項
   〇法第21条の規定による秘密の保持に関する事項
   〇入居者からの苦情の処理に関する事項
    賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所毎に、1名以上の業務管理者を置かなければなりません。
      ※業務管理者は、他の営業所又は事務所の業務管理者となることが出来ません。

(2)業務管理者の要件(法第12条第4項)

   業務管理者が備えるべき要件は、以下のいずれかに該当する者であることとする。  

   〇管理業務に関する2年以上の実務経験(※1)登録試験(※2)に合格した者
   〇管理業務に関する2年以上の実務経験(※1)宅建士指定講習(※3)を修了した者
   〇令和2年度までに賃貸不動産経営管理士試験に合格し、
    令和4年6月(移行期間終了)までに登録を受けた賃貸不動産経営管理士で、
    法施行後1年の間に、移行講習(※4)を受講した者(実務経験不要)
    ※1 管理業務の実務経験については、別途実務講習の修了をもって変えることも可
      ※2 登録試験実施機関が実施。令和3年度以降の受験者に対する試験。最初の試験は令和3年11月頃を予定
      ※3 指定講習実施機関が実施。宅建士に対する講習。令和3年4月下旬~5月上旬から実施(募集は、4月上旬~4月中旬)
         講習は10時間程度を予定。法施行前に行われた講習は、施行後に行う講習と見做される。
      ※4 移行講習実施機関が実施。既に賃貸不動産経営管理士である者(令和4年6月までに登録済)に対する講習
         令和3年4月下旬~5月上旬から実施(募集は、4月上旬~4月中旬)。講習は2時間程度を予定
         法施行前に行われた講習は、施行後に行う講習と見做される。1年間限定の講習
      ※合格証及び修了証明書の有効期間は5年間
      ※業務管理者の要件については、登録試験・指定講習の実施状況その他新法の施行・運用状況を踏まえて見直しを検討する。

   今後の検討事項について
   〇移行期間内(法施行後1年内)に受講できなかった対象者に対し、
    移行期間後も登録試験に代わる何らかの救済措置を講じることを検討できないか。
   〇更新講習を受けなかった者が再び業務管理者になることが出来る要件等を具体的に検討すべき。
   〇移行講習や指定講習については、簡易なものでよいのではないか。
    又、オンライン上で柔軟に対応出来ないか。
   〇指定講習については、実務経験が2年以上あることの確認は、業務管理者に登録する際の要件とし、
    指定講習の受講要件からは外し、スムーズな申込手続にした方がよいのではないか。 
   〇将来的には、登録試験を合格することが業務管理者になるための
    唯一の要件となるように(指定講習もいずれは無くすように)すべきではないか。

(3)分別管理の方法について(法第16条)

   分別管理の方法は、以下のいずれをも満たす方法とする。
   
   〇口座分別の方法により、管理業務において受領する家賃・敷金等の金銭を、
    自己の固有財産と分別して管理する方法
    契約毎に口座を設けることは求めない。
   〇帳簿や会計ソフト上で、管理業務において受領する家賃・敷金等の金銭を、
    自己の固有財産及び他の契約において受領する家賃・敷金等の金銭と分別して管理する方法
    こちらは契約毎に分別して管理しなければならない。

(4)定期報告について(法第20条)

   委託者へ報告すべき事項は、以下のとおりとする。

   〇報告の対象となる期間
   〇管理業務の実施状況(家賃等の金銭の収受状況、維持保全の実施状況等)
   〇入居者からの苦情の発生状況及び対応状況
    ※上記は法令上報告が義務付けられている最低限の事項。上記以外についても委託者からの求めに応じ報告する事が望ましい。
     ※報告の頻度については、最低限年1回行う事を法令上で義務付けし、報告事項によっては、複数回の報告が望ましい。
     ※報告の方法については、書面によらず、メール等の電磁的方法によることも可能とする。
      その場合は、事業者において報告書のデータを適切に保存する。 

(5)管理受託契約に係る重要事項説明書への記載事項
   
   管理受託契約の記載事項は、以下のとおりとする。

   〇管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
   〇管理業務の対象となる賃貸住宅
   〇報酬並びにその支払の時期及び方法
   〇報酬に含まれていない管理業務に関する費用であって、賃貸住宅管理業者が通常必要とするもの
   〇管理業務の一部の再委託に関する事項
   〇管理業務の内容及び実施方法(金銭の管理の方法を含む。)
   〇定期報告に関する事項
   〇責任及び免責に関する事項
   〇契約期間に関する事項
   〇入居者への対応に関する事項
   〇契約の更新又は解除に関する事項
    ※あくまで省令におけるイメージです。

   特定賃貸借契約の記載事項は、以下のとおりとする。

   〇特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所
   〇特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅
   〇特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、
    支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
   〇特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法
   〇特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項
   〇特定賃貸借契約の相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項
   〇責任及び免責に関する事項
   〇損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
   〇契約期間に関する事項
   〇転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項
   〇転借人に対する第四号に掲げる事項の周知に関する事項
   〇特定賃貸借契約の更新及び解除に関する事項
   〇特定賃貸借契約が終了した場合における特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項
   〇借地借家法その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要

 
③その他の論点**************************************

(1)現行の賃貸住宅管理業登録制度(大臣告示)における新規登録申請の取扱いについて

   大臣告示に基づく登録事業者が新法に基づく登録を受けるにあたっての特例措置

   〇新法に基づく業登録に際し、一定期間、現行の大臣告示制度に基づき
    適正な運用を行ってきた実績等を有する事業者に配慮することとし、
    事業者登録番号における更新回数を+1して登録を行うこととする。
   〇上記の特例措置の対象事業者は、新法成立(令和2年6月)までに
    大臣告示に基づく登録を受けた事業者とする。
    現行の大臣告示に基づく新規登録申請については、令和3年3月1日に受付が停止されます。

 

政省令が公布(3月下旬予定)されましたら、又詳細を投稿させて頂き、
申請書類や手続期間等が判明次第、専用ページも新法にあわせて修正させて頂く予定です。

賃貸住宅管理業に関しまして、ご相談がございましたら、ご連絡(03-5954-5356)お願いいたします。
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です