民法(債権関係)改正

今月10日に行われた法制審議会民法(債権関係)部会第99回会議にて、
民法(債権関係)の改正に関する要綱案(案)が決定されました。
およそ5年にわたる調査、審議を行い、今後調整を加え法案が国会に提出されるようです。

大幅な改正になるので、全文はこちらでご確認ください。

今回は、①法定利率 ②債権の消滅時効 ③保証人保護の方策の拡充 ④定型約款 ⑤敷金について、
ご説明させて頂きます。

①法定利率
これまでの5%から3%へ引き下げ、3年毎1%刻みで見直す(変動制)が導入されます。

②債権の消滅時効
商事債権と職業別の短期消滅時効が撤廃されます。それぞれの債権については、以下の通りです。
(注)この改正に伴い、商法第522条を削除するものとする

「消滅時効」 ―債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点-
(1)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
(2)権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

「不法行為による損害賠償請求権の消滅時効」

(1)被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
(2)不法行為の時から20年間行使しないとき。

「生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効」
(1)人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効については、
  被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき。
(2)人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効については、
  権利を行使することができる時から20年間行使しないとき。

③保証人保護の方策の拡充

・個人が連帯保証人になる場合には、公正証書の作成が義務付けられます。

事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約
又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、
その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が
保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

・ただし、個人保証の制限の例外として(1)経営者(2)一定の株主(3)事業に従事する配偶者
 についてはこの限りではございません。

保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない。
(1)主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
(2)主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者
(ア)主たる債務者の総株主の議決権の過半数を有する者
(イ)主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社が有する場合における
  当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
(ウ)主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社及び
  当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者が有する場合における
  当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
(エ)前各号に掲げる者に準ずる者
(3)主たる債務者(法人であるものを除く。)と共同して事業を行う者
  又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者

④定型約款
・約款に関し(1)定義 (2)みなし合意 (3)表示 (4)変更についての規定が設けられました。

(1)定型約款の定義
定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、
その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。)において、
契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体

(2)定型約款のみなし合意
定型取引合意をした者は、次に掲げる場合には、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
(ア)定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
(イ)定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。

ただし、前号の規定にかかわらず、条項のうち、相手方の権利を制限し、
又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして
民法第1条第2項に規定する基本原則(権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。

(3)定型約款の内容の表示
(ア)定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、
  定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、
  遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。
  ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、
  又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
(イ)定型約款準備者が定型取引合意の前において(ア)の請求を拒んだときは、みなし合意の規定は、適用しない。
  ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない

(4)定型約款の変更
(ア)定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、
  変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、
 個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
  a.定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
  b.定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、
   この規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及び
   その内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
(イ)定型約款準備者は、(ア)の規定による定型約款の変更をするときは、
  その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の
 内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
(ウ) (ア)b.の規定による定型約款の変更は、(イ)の効力発生時期が到来するまでに(イ)による周知をしなければ、
  その効力を生じない。
(エ)みなし合意のただし書の規定は、(ア)の規定による定型約款の変更については、適用しない。

⑤敷金
・敷金についても(1)敷金の返済義務等 (2)賃貸物の修繕等 (3)賃貸借終了後の収去義務及び原状回復義などが
 設定、改定されました

(1)敷金の返済義務等
(ア)賃貸人は、敷金(いかなる名義をもってするかを問わず、
  賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする
 債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。)を受け取っている場合において、
 次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた
 賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
  a.賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
  b.賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
(イ)賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、
  敷金をその債務の弁済に充てることができる。
 この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

(2)賃貸物の修繕等
(ア)賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
  ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
(イ)賃貸物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
 a.賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、
  賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
 b.急迫の事情があるとき。

(3)賃貸借終了後の収去義務及び原状回復義 ※(ア)(イ)は使用貸借から準用する。
(ア)賃借人は、賃貸物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、
 賃貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。
 ただし、賃貸物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、
 この限りでない。
(イ)賃借人は、賃貸物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
(ウ)賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷
 (通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)
 がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
 ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

事業者の方々は、現在作成されている契約書や約款等を見直す機会になると思います。
ご質問等ございましたら、是非ご連絡お願いいたします。


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