先日20日に自動売買システム(EA)を使用して行政処分を受けた
金融商品取引業者(投資助言・代理業者)がおりましたので、
今回は、自動売買システム(EA)と金融商品取引業との関係性について、ご説明させて頂きます。
自動売買システム(EA)については、何年も前に金融商品取引業との関連で議題に上がっており、
基本的には、下記のような考え方が一般的となっております。
※利用するのは自由ですし、開発についてはソフトウェア業になります。
自動売買システム(EA)を売り切りで販売する。⇒金融商品取引業との関連なし。
※不特定多数の方に対して売り切りで販売するのは、ソフトウェア販売業になります。
自動売買システム(EA)を会員制で販売又はレンタルする。⇒投資助言・代理業登録の必要性有り。
※特定の方に対する販売又はレンタルは、投資助言業に該当する可能性がございます。
(なお、再配布も同様)
※北海道財務局の見解(参考) 自動売買ソフトの販売・レンタル業者にご注意!
自動売買システム(EA)を販売し、
かつ当該システムの更新等の継続的なサービスを行う。⇒投資助言・代理業登録の必要性有り。
※この更新等(ロジック、システムの変更等)が投資助言に該当いたします。
自動売買システム(EA)を販売し、かつ顧客の開設口座の証券会社から利益を授受する。
⇒第一種金融商品取引業登録の必要性有り。(いわゆる仲介・取次ぎに該当。)
※開設できる口座が少ない場合等によく見られるケースです。
つまり証券会社が当該システムを助言会社等に販売させ、
証券会社の口座を開設させるような形にもっていく形態であり、
証券会社から手数料等(名目問わず。)を助言会社等が受ける場合には、
第一種金融商品取引業の仲介・取次ぎに該当する可能性がございます。
※なお、金融商品取引法上では、デリバティブ取引の仲介等(=第一種業)の登録について、
有償・無償の有無の規定はなく、『業として行う場合、登録が必要』となっているため、
仮に、無償で行う場合でも登録が必要な可能性はございますので、ご注意下さい。
自動売買システム(EA)を販売または利用し、顧客の代わりに発注等を行う。
⇒投資運用業登録の必要性有り。
※今回の行政処分はこちらです。
上記のような場合全てが、金融商品取引業登録が必要になるかどうかは個別の判断となりますが、
登録業者はもちろん、既にEAに携わっている方やこれからの方は、十分に注意して行わないと
無登録営業に該当し、ペナルティーを受ける可能性もございますので、ご留意下さい。
金融商品取引業に関しまして、ご質問等ございましたら、ご相談(03-5954-5356)下さい。
最近、EA販売における契約書についてもご相談が増えております。
『EA販売における契約書』に関する記事(2019.10.30投稿)もございますので、是非ご覧下さい。
<2020.6.9追記>
今月3日に金融庁が、オンラインサロン等での投資助言行為について警告を出しました。
オンラインサロン等(SNS)を通じた有償での銘柄推奨や投資タイミング等の助言については、
投資助言業に該当する可能性が有るため、投資助言業に係る無登録業者について、
金融庁まで具体的に判別できる業者情報を金融庁宛に報告するよう、ユーザーに促しました。
〇金融庁(2020.6.3【注意喚起】)
https://twitter.com/fsa_JAPAN/status/1268137299298017286
本年5月1日より、「暗号資産(仮想通貨)」が金融商品に追加された事によるものですが、
暗号資産に限らず、他の金融商品についても、オンラインサロン等(SNS)による方法での
無登録営業は、前から問題となっておりましたので、事業者の方及びユーザーの方は、十分ご注意下さい。
<2020.7.24追記>
〇弊所へのご相談について
最近(ここ数年ですが)、ご相談において、『この業務は投資助言業等に該当するのか?』や
『登録が不要な方法を教えて下さい。』と言うご相談を沢山頂きます。(コメントにもございますが。)
余りにも沢山頂くので、ここで弊所のスタンスを、お知らせさせて頂きます。
先ず、弊所は『助言業等の登録が必要な方へのサポート』をご提供させて頂いており、
『助言業等の該当性』や『どうすれば登録は不要か?』等についてのご相談はお受けしておりません。
※それらのご相談は、当局へご相談下さい。
※登録の必要性が判断できない業者は、登録すべきではないと考えております。
勿論、100%登録が必要な場合には、その旨お伝えし、要件等がクリア出来る前提で、
登録サポートをお受けしておりますが、ご相談者の多くの方が『登録をしない』前提で、
ご質問を為さるので、大変困っております。
『登録が必要であり、且つ、登録のサポート』をご検討の方は、ご相談をお受けいたしますが、
『登録が必要がどうか不明、又は、登録はしない(出来ない)』と言う方のご相談はご遠慮させて頂きます。
※ご相談内容次第では、ご返信いたしませんので、ご了承下さい。
以上、全ての方・全てケースと言うお話ではございませんが、中には不躾な方もいらっしゃいますので、
記載させて頂きました。何卒ご理解のほど、お願いいたします。
ハイローオーストリアの自動バイバイのソフトを介して売買を行い、月額料金を貰おうと考えています、許可申請、並びに顧客との利用規約などの手続き必要であれば依頼先を探しています
ハイローオーストラリアの運営業者「HighLow Markets Pty. Ltd.」は、無登録業者として、金融庁より警告書が出されている業者です。真実は分かりませんが、リスクは負えませんので、弊所でご依頼をお受けすることは出来ません。ご了承下さい。
他のどの解説サイトよりも分かりやすい説明ありがとうございます。大変勉強になります。
Fxの自動売買ツールの売り切りとはどのようなことをいうのでしょうか?
法人で自動売買ツールを販売しようと思ってるのですが投資助言代理業登録は必要になってきますか?
会員制ではなく、誰でも(不特定多数が)購入可能であり、売却後、当該ソフトに関してアップデート(バグ等を除く。)を行ったり、質問等(操作方法等の基本的な質問を除く。)に対して、回答したりしなければ、助言業務には該当しないと考えられます。(つまり、売却後は基本的には一切関与しない。)
なお、登録が必要かどうかは、御社のスキーム次第となりますので、スタートされる前に、当局へご相談の上、お進め下さい。(登録が不可避の場合には、ご相談下さい。)
ブログでEAを無料提供する代わりに、海外証券会社に口座を開設してもらい、 IB報酬を得ています。 ブログでのEAの販売やアップデートはしておりません。この場合、法的に違法になることはございますでしょうか?ご教示頂けますと幸いでございます。宜しくお願い致します。
金融商品取引法違反に該当する可能性としては、柳瀬様の行為が『デリバティブ取引の媒介行為』に該当する場合です。本来、第1種業者のみ行える業務となりますので、無登録営業に該当します。なお、柳瀬様の行為が金融商品取引業に該当するかどうかは
、弊所が判断する事は出来ません。(その立場におりませんので、ご理解下さい。)アフィリエイト、IBについては、昔から違法なのかどうか問題となっておりますが、結局は、柳瀬様の行為の内容やスキーム等次第でございますので、ご不安であれば、予め当局へ相談の上、お進め下さい。(なお、個人的には当局が明確な基準を設けず、曖昧な形にしているために、グレー行為になっている気がいたしますが。。。)
FXの自動売買システム(EA)の紹介業を始めたいと思っています。
流れとしては下記になります。
不特定多数のユーザー ⇒ 私 ⇒ 販売代理店 ⇒ システム会社
広告や口コミなどで私が集客して、販売代理店を経由してシステム販売する予定です。
私の報酬としては販売代理店から紹介料として受け取ります。
私の利益としては2つあります。
・システムの販売利益を代理店経由でもらう
・システムをレンタルした場合、システム会社がユーザーから30%の成果報酬を受け取ります。
その30%のうち5%を販売代理店経由で頂きます。
ユーザーはシステムは買い取りです。ただし、運用した際、システム会社から口座管理費用として毎月1万円徴収されます。
この金額は私にインセンティブとして一切入りません。
この条件ので紹介業を進める時、金商法に該当することあり得ますでしょうか?
助言頂ければ幸いです。
お手数ですが宜しくお願い致します。
ポイントは、システム会社のEA販売業務が金商業(助言業等)に該当するかどうかです。
単なるシステム販売で有れば構いませんが、“レンタル”や“口座管理費用”等の文言を見ますと、
継続してサービスを提供されるのでしょうから、恐らく助言業に該当すると思います。
又、内容によっては、運用業や第一種業に当たるケースもございますので、ご留意下さい。
更に、システム会社が助言業等を行っている場合において、
顧客とシステム会社との契約を代理・媒介する場合、
その行為は、投資助言・代理業の『代理業』に当たりますので、
代理・媒介する業者(今回で言うと、代理店・伊野様)も登録が必要となります。
間に、代理店があるので微妙ではありますが。
代理店・伊野様のリスクは、無登録営業者の手助けをし、
自身も無登録営業の可能性が有る点でしょうか。
単なるパンフレットや契約書の交付、回収程度では、代理業に該当しませんが、
勧誘・商品説明、契約書の説明・チェック等をされる場合には、該当します。
対応策としては、システム会社に対して、金商業の該当性について確認をして頂き、
グレーであれば、止めておいた方がよろしいかと思いますし、
少なくとも契約書や誓約書により、金商業に該当する行為を行わない旨は、
文章化しておいた方がよろしいかと。
(システム会社は大丈夫と言うでしょうし、文章化しても結局は中身次第ですが。)
上記は、コメント内容からの個人的な意見でございますので、ご参考程度とお考え下さい。
なお、ご心配の場合には、当局へご相談の上、お進め下さい。
こんにちは、相談です。
有料会員を集めて、そのお金でEAを購入し、会員にそのトレードの結果を公開するという仕組みを考えているのですが、その場合は法律に引っかかることはありますか?
収益としては、2つを考えています。
1. ブローカーのIB登録
2. 会員の月会費
また、ここの会員に、再配布可能なEAを無料で配布することは、できますか?
よろしくお願いします。
法律的に申し上げますと、きむら様の行為は、第一種金融商品取引業及び投資助言業に
該当する可能性がございます。
前提として、海外業者(FX業者等)であっても、国内居住者を相手に取引を行う場合には、
第一種業登録が必要となります。紹介先の業者は、第一種業の登録をされていますか?
更に、きむら様が行う予定の、IB業務も「デリバティブ取引の媒介・取次ぎ・代理」に
該当するでしょうから、きむら様も第一種金融商品取引業の登録を行わなければなりません。
(そもそも、個人では登録できませんが。)
続きまして、きむら様のトレード結果を会員に公開し、
月会費を得る行為は、投資助言業に該当する可能性がございます。(スキーム次第ですが)
なお、EAを無料配布する行為については、それのみで法律的に問題があるとは言えませんが、
結局はそのスキーム次第であり、特に上記2つの行為に伴う場合には、ご注意下さい。
詳細が分かりませんので、断言は出来ませんが、よく聞くお話ですので、
お進めになるのであれば、事前に当局へ相談された方がよろしいと思います。
以上、ご参考まで。
重ねての質問です。
mql5.comでは、売買のシグナルを不特定多数に向けて有料で配信する機能があります。
このシステムを使って日本からシグナルを配信するのは、投資助言業にあたりますか?
また、このシステムを使い、無料で配信することも、投資助言業に当たるかどうか、教えていただければ助かります
MQL5.comシグナルサービス配信規約の第11条第2項をご覧ください。
本サイトのいかなる情報も、売買の提供あるいは勧誘、および証券銘柄を推薦する投資助言を目的としたものではありません。
当該サイトで、投資助言行為は出来ないのでは?(規約は建前だと思いますが。)
又、不特定多数に向けているとは思えませんし。(利用していないので想像ですが。)
なお、無料の場合には、登録不要です。
但し、名目を変えたり、有料サービスの一部を助言行為にしたり等して、
誤魔化す方がいらっしゃいますが、その場合には登録が必要です。
(運よく見つかっていないだけですので、ご留意下さい。)
お世話になります。
大変わかりやすい記事をありがとうございます。
当社が今後行おうとしている事に関しての違法性について、
ご意見を頂戴したく宜しくお願いします。
(あくまで可能性のお話であり、法的なアドバイスとは捉えません)
当社では、あるトレーダーの取引をコピーする機能を持ったEA(自動売買)の
開発、ならびに販売を企画しています。当社は金融商品取引業などのライセンス
は一切保有していません。(ソフトウェア業も有していません)
販売とは売り切りであり、EAの利用者はEAを使用する事であるトレーダーの取引
をコピーする事が可能です。
有料会員といった会員を抱えているわけではなく、インフォトップというサイトで
販売しようと考えています。
「自動売買システム(EA)を販売し、かつ当該システムの更新等の継続的なサービスを行う」
という点に該当するのかどうか、そもそも他のトレーダーの取引をコピーする機能を持った
EAを販売する事自体に投資助言・代理業登録が必要という事にならないかが知りたいです。
ご回答を参考に、企画を進めるかどうかについて別途法律関係について、しっかり確認を
した上で判断をしたいと考えています。
お手数ですが、ご見解を頂戴したく宜しくお願い申し上げます。
先ず、前提として、『コピートレード』自体が、投資助言・代理業に該当します。
また、場合によっては、投資運用業にも該当します。
つまり、トレーダーになる方は、金商業の登録が必要となります。
※勿論、実態次第でございますが、十中八九必要です。
トレーダーの提供する情報により、継続して、投資家が投資を行うのですから、
その行為は、助言行為に該当します。更に、口座の管理まで行うのであれば、
運用業にも該当する可能性がございます。
続きまして、当該ソフト販売により、顧客(投資家)とトレーダー(登録が必要な方)との
投資助言契約(または、運用委託契約)の締結の媒介を行っていると見做される場合には、
御社にも投資助言・代理業登録が必要となります。(『代理』に該当します。)
また、御社とトレーダーの関係によっては、御社が助言行為を行っていると
見做される場合もございます。
三者間での実態次第でございますので、あくまで可能性の話でございますが。
以上、個人的な意見としては、無登録の状況でコピートレードに関わるのは、
お止めになった方がよろしいかと。なお、最終的には、当局に相談してお進め頂き、
登録が必要な場合には、お声をお掛け下さい。
お世話になります。
投資助言・代理の登録要件で(業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保が必要)とありますが、これは金商業の職務歴ある方のみでしょうか?
保険業等も当てはまることになるのでしょうか?
お手数ですが、ご見解を頂戴したく宜しくお願い致します。
全体の経歴や助言業における役職等により、総合的に判断されますので、
この情報のみで、明確な判断を下すことは出来ませんが、
金融商品取引法において、保険は対象外となっておりますので、
保険業のみのご経歴では通用しないのではないかと思われます。
お世話になります。とても勉強になる記事でした。
EAの無料配布について、質問があります。
①EAの無料配布は違法に該当するのか?
②GoGoJungleなどで販売しているインジケーター(有料)を購入した際に、特典としてEAを無料配布するのは違法に該当するのか?
③有料で販売したEAおよびインジケーターを動画やブログで広告・紹介・質問の受け答えをするのは違法に該当するのか?また、無料の商品においても違法性があるのか?
回答の方、お待ちしています。よろしくお願いいたします。
頂いたご質問のような内容(違法性の有無)については、直接当局へご相談下さい。
※弊所が判断する事が出来る範囲を超えております。
なお、ご相談の結果、登録が必要なスキームであり、
且つ登録をご希望の場合には、再度ご連絡お願いいたします。
お世話になります。
大変分かりやすい記事をありがとうございます。
現在有料のオンラインサロンの運営(投資関連ではありません)をしており、会員が2万人程度います。
FX自動売買会社から、自社の商品を無料で会員に宣伝・配布してほしいと依頼があり、私は広告費をもらう形で会員に紹介しようと思っております。
このような場合、登録は必要になりそうでしょうか?
その法人が、以下のどの業者かによります。
1 金商業者
2 金商業者ではないが、金商業を行っている(無登録業者)
3 ソフトウェア開発販売会社
3であれば問題ないと思いますが、投資関連は様々なトラブルが生じます。
今の御社の業務や会員を考えると、慎重に判断されるのがよろしいかと。