投資助言・代理業登録の人的要件

平成24年4月の金商法改正により、投資助言・代理業登録にも人的要件が加わり、
施行前と比べると登録者数が目に見えて減りました。(以前が少し簡単過ぎた気もいたしますが。。。)

今回は、登録における最重要ポイントである人的構成について、
実例を交え、ご説明させていただきたいと思います。

先ず、個別の説明の前に、人的構成について(審査官が注視する体制箇所として)大きく分けると
下記の①~④の4つのカテゴリーになります。

経営者
投資判断者(分析・助言担当者)
コンプライアンス担当者
内部監査担当者

以下、一つずつ細かくご説明させて頂きます。

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経営者
 登録を行おうとする会社の役員または事業主について、登録上以下の能力・知識・経験が求められます。

 経営能力、資質
 コンプライアンス、リスク管理に知識・経験

登録事例
(1)金融商品取引業者の役員経験者の場合
・経験年数は3年程が最低ライン、合算でも可
・基本的には、金融商品取引業者の役員経験であれば、
 登録(第1種、第2種、運用、助言)の別は問われません。
 
(2)金融商品取引業者の役員経験ではないが、別事業で役員経験がある場合
・経営能力という点では、別事業でも認められる。(上場企業の役員経験であれば高ポイント
・金商業の知識、能力という点では、資格取得や講習会の参加、外部専門家のサポート等で補てんしたり、
 登録後協会のセミナーに参加等の記載を説明書類に明記する等して、
 十分に金商業の経営も行える点を証明、説明することになります。

(3)経営経験が全くない場合(会社を辞めて独立される方等)
・例えば、執行役員や部長等で金商業務を統括していた場合等は、
 管理能力として認められるケースもござます。
・他の役員に、金融商品取引業者の役員経験者を置く。
・経営セミナーへの参加や経営コンサルタント資格等で経営能力を補う。
 (あくまで補助的なものになりますが。)

金商法上、個人登録(法人で一人代表の場合も含む)も可能
 (実情は外部委託や使用人雇用等が発生してしまう場合がほとんどですが。)なので、
 経営者(役員)に関しては、事業内容・規模等に依るところもあり、
 該当する方(審査が通る方)はそれなりにいらっしゃいます。
 ただし、「今まで一切会社経営や個人事業の経験がない方一人」で登録となると、厳しいのが現状です。
 
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投資判断者(分析・助言担当者)
 登録を行おうとする会社の役員又は使用人について、登録上以下の能力・知識・経験が求められます。

 金融商品の価値等に関する知識・経験

登録事例
(1)金融商品取引業者での実務経験者の場合
登録する会社での助言対象金融商品に対する実務経験が必要
(FXを助言対象とするのに、株式の経験しかない場合は知識・経験として認められるのは難しい。)
・経験年数は3年程が最低ライン、合算でも可
・営業経験はプラスにはなりますが、それだけでは投資判断者としての能力としては不足

(2)金融商品取引業者での実務経験がない場合
・自身で助言対象となる金融商品へ投資を行っていた経験は認められる。
(自身で投資していく中で、当該金融商品に対するロジック等を考案し、業として助言を行いたい等)

実務上、このポジションの方が一番人数がいらっしゃるので、
 人材不足ということにはならないと思われます。
 
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コンプライアンス担当者(最重要ポイント)
 登録を行おうとする会社の役員又は使用人について、登録上以下の能力・知識・経験が求められます。

 金融商品取引業及び金融商品取引法におけるコンプライアンス関する知識・経験 

登録事例
 改正から3年半ほど経ち、これまでの実務経験を踏まえ2015年9月12日に投稿した
 ブログ:コンプライアンス担当 をご参照ください。
 
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内部監査担当者 (注)基本的に他の部門との兼業は不可
 登録を行おうとする会社の役員又は使用人について、登録上以下の能力・知識・経験が求められます。

 金融商品取引業における内部監査の知識・経験

(1)金融商品取引業者での実務経験がある場合
・金融商品取引業者で監査役や内部監査担当者としての実務経験がある。
・経験年数は3年程が最低ライン、合算でも可

(2)金融商品取引業者以外での実務経験がある場合
・別事業での監査役や内部監査担当者としての実務経験は認められる。
 但し、金商業に関する知識という点が乏しいと判断された場合、
 顧問弁護士等のサポートで補う必要があります。

(3)実務経験がない場合
・弁護士や行政書士等(金商業の内部監査に関する知識・経験がある者)に外部委託ができる。
 外部委託の場合には、申請の際に業務委託契約書(草案)を添付する必要がある。
 あくまで外部委託なので、内部監査担当者は置く必要がございます。
 
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金商業の登録に際しては、この他苦情・紛争処理、総務、経理、システム、広告等の担当が必要となりますが、
基本的には、上記①~④の部門を構築できる体制=「人」を整えられれば、登録は可能となります。

実務上、コンプライアンス担当が見つからないため、登録を断念される方を多く見かけます。
外部委託や(補助的な)顧問という方法もございますが、
なかなか専門的に扱っている方も少ないのが現状です。
(タイミングが合えば、ご紹介させて頂けるケースもございます。)

なお、登録においては、事業規模や人数により人的要件の幅がございます(ケースバイケースです。)ので、
それらは、審査官と協議して、進めていくことになります。

厳しい案件でも何とか登録出来たケースもございますので、
投資助言・代理業登録をお考えの方は、先ずは→こちらで手続の流れや費用等をご確認頂き、
ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

2 thoughts on “投資助言・代理業登録の人的要件

  1. お世話になっております。
    橋本と申します。

    先生からは何度か助言業に対するアドバイスをいただき、大変助かっております。

    今回の相談ですが、助言業のM&Aをお願いしたいと思い連絡いたしました。
    先生のネットワークで、助言業を売りに出したい方いませんか?
    新規ではハードルが高く感じてしまい、買収を考えている状況です。

    もし、いるようであればその仲介業務もお願いしたいと思います。

    • 申し訳ございませんが、現時点で売却希望の助言業者は存じ上げません。
      なお、助言業者のM&Aは売手側の主要な役職員が辞めてしまう場合、
      結局、買手側で人的構成要件を維持出来る人員を揃えなければなりませんので、ご留意下さい。

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