在留資格「特定活動」告示の改正(追記)

先月末から『本邦の大学・大学院を卒業・修了した留学生の就職支援を目的』として、当該卒業生が、
日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務を含む幅広い業務に従事する事を希望する場合には、
在留資格「特定活動」にて入国・在留が可能となっております。

この度、そのガイドラインが入管より公表されましたので、以下ポイントを抜粋し、ご説明させて頂きます。
なお、独占資格が必要な業務及び風俗関係業務には従事出来ません。
 

①対象者(以下(1)及び(2)を満たす方)

(1)学歴については、以下の2パターン。
   (ア)日本の4年制大学の卒業された方
   (イ)日本の大学院を修了された方
    ※なお、短期大学や専門学校、又外国の大学や大学院は対象外となっております。

(2)日本語能力については、以下の3パターン。
   (ア)「日本語能力試験N1」を有する方
   (イ)「BJTビジネス日本語能力テスト480点以上」を有する方
   (ウ)大学又は大学院において「日本語」を専攻して卒業した方
    ※なお、外国の大学又は大学院において「日本語」を専攻した方も含みますが、
     その場合、併せて、日本の大学・大学院を卒業・修了している必要がございます。
 

②『日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務』について

当該在留資格において従事する業務内容は、単に雇用主等からの作業指示を理解し、
自らの作業を行うだけの受動的な業務のみでは足りず
所謂、「翻訳・通訳」の要素の有る業務
日本語能力を用いて、自ら第三者へ働きかけをする業務等
他者との双方向のコミュニケーションを要する業務に従事しなければなりません。
 

③『本邦の大学・大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用するものと認める業務』について

当該在留資格において従事する業務内容に、
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象となる
学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること
又は、今後当該業務に従事することが見込まれることが条件となっております。

=つまり、単純作業等のみではダメということ。(プラス一定水準の業務が必要)
 

④『日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること』について

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることについては、
一定の報酬額を基準として一律に判断するものではなく
地域や個々の企業の賃金体系を基礎に、同種の業務に従事する日本人と同等額以上であるか、
又、他の企業の同種の業務に従事する者の賃金を参考
にし、判断されます。
 

⑤契約形態における注意事項

(1)申請内容に基づき、「指定する活動」として活動先の機関が指定され
   「指定書」として旅券に貼付されます。
   なお、転職等で活動先の機関が変更となった場合は指定される活動が変わるため、
   在留資格変更許可申請が必要となります。

(2)指定書に記載される機関名は、契約先の所属機関名であるため、
   例えば同一法人内の異動や配置換え等については、在留資格変更手続は不要です。
   他方で、転職等により契約の相手方が変更となった場合は、
   新たに活動先となる機関を指定する必要があるため、在留資格変更許可申請が必要となります。

(3)当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動であることから、
   フルタイムの職員としての稼働に限られ短時間のパートタイムやアルバイトは対象になりません。

(4)契約機関の業務に従事する活動のみが認められ、
   派遣社員として派遣先において就労活動を行うことはできません。

(5)契約機関が適切に雇用管理を行っている必要があることから、
   社会保険の加入状況等についても、必要に応じ確認を求めることになります。
 

⑥当該在留資格の変更又は在留期間の更新について

当該在留資格を変更又は期間の更新を行う場合に、以下の事項について確認が行われます。

(1)素行が不良でないこと。
   ※素行が善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価されます。

(2)入管法に定める届出等の義務を履行していること。
   ※在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、
    紛失等による在留カードの再交付申請、
    在留カードの返納等の義務を履行していることが必要となります。
 

⑦対象者の家族について

当該在留資格を付与された者の扶養を受ける配偶者又は子については、
「特定活動(本邦大学卒業者の配偶者等)」の在留資格で、日常的な活動が認められます。
 

⑧具体的な活動例

(1)飲食店に採用され、店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行うもの
  (それに併せて、日本人に対する接客を行うことを含む。)
   ※厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。

(2)工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や
   他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行うもの
   ※ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。

(3)小売店において、仕入れや商品企画等と併せ、通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務を行うもの
  (それに併せて、日本人に対する接客販売業務を行うことを含む。)
   ※商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。

(4) ホテルや旅館において、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業を行うものや、
   外国人客への通訳(案内)、他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして
   接客を行うもの(それに併せて、日本人に対する接客を行うことを含む。)
   ※客室の清掃にのみ従事することは認められません。

(5)タクシー会社に採用され、観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ、
   自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの
  (それに併せて、通常のタクシードライバーとして乗務することを含む。)
   ※車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。

(6)介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、
   外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り、介護業務に従事するもの
   ※施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。

 

これまでは、せっかく日本で就職先が決まった場合でも、その業務内容により、
変更が難しかった(在留できなかった)ケースを数多く見てきました。

いくつかの要件があり、全ての留学生が対象ではございませんが、
当該改正により、留学生にとって、日本での就職の幅が拡がり
また、日本企業側の人材不足等の解消にも多少は繋がるのではないでしょうか。

在留手続に関しまして、ご相談がございましたら、
お気軽にご連絡(03-5954-5356)お願いいたします。

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